ABS樹脂とは
ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)は、プラスチックの一種で、耐衝撃性・耐熱性・耐薬品性に優れた素材です。アクリロニトリル(A)、ブタジエン(B)、スチレン(S)の3つの成分を組み合わせたことで、それぞれの特性を活かしたバランスの良い材料になっています。
安全靴の先芯としてのABS樹脂
安全靴の先芯には、主に以下の3種類の素材が使われます。
- 鋼製(スチール)先芯
- 高い強度があり、重い物が落ちたときの耐久性が優れる
- やや重く、金属アレルギーのリスクがある
- ABS樹脂製(または樹脂複合)先芯
- 軽量で長時間履いても疲れにくい
- 一定の耐衝撃性能があるが、鋼製よりは強度が低い
- 金属探知機に反応しないため、空港や工場での使用に向いている
- グラスファイバーやカーボン製の先芯
- ABS樹脂よりも強度が高く、軽量
- 耐衝撃性・耐熱性に優れるが、高価
ABS樹脂のその他の用途
ABS樹脂は様々な分野で利用されています。
- 自動車部品(バンパー、ダッシュボード、グリルなど)
- 家電製品(テレビ、冷蔵庫、洗濯機の外装)
- 玩具(レゴブロックなど)
- 電子機器の筐体(ノートパソコン、スマートフォンケース)
- パイプや配管部品
鋼製先芯とABS樹脂先芯の強度比較
鋼製先芯のほうが耐荷重や耐衝撃性では優れています。JIS規格では、安全靴の先芯には一定の基準が求められ、鋼製・樹脂製ともにその基準を満たす必要がありますが、
極端な圧力(重い物の落下、圧縮)には鋼製の方が耐えやすいため、過酷な現場では鋼製が推奨されることが多いです。
一方、軽量性や金属検知を避ける目的ではABS樹脂先芯が有利です。作業環境によって使い分けが重要になります。