ABS樹脂

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ABSとは

理化学辞典 第3版増補版と第5版の記述を比較してみることにする。
ABS樹脂に関して、岩波 理化学辞典第3版増補版と第5版との比較

アクリルニトリルーブタジエンースチレン共重合樹脂(ABS樹脂)

【第3版増補版】
ABSと略称される.金属に代わる耐衝撃性樹脂として開発された.ポリブタジエンを主体とする合成ゴムとアクリルニトリルースチレン共重合体を混合するか、あるいはポリブタジエンの幹に乳化重合法によりアクリルニトリルースチレンをグラフと重合させて得られる.引張り強さ 2400~40000 lb/in2,衝撃値 1.5~9.0 ft・lb/in2(23℃).ゴム分の多いものは耐衝撃性は大きいが、引張り強さ、硬さ、耐熱性が劣る.射出成形、押出加工,真空成形により電気部品,自動車部品などに用いる.また演歌ビニル樹脂の衝撃性改善に用いる.

【第5版】

ABSと略称、ポリブタジエンの幹に乳化重合法によりアクリロニトリルースチレンをグラフと重合させて得られる.引張り強さ 3.0~5.2✕107Pa,アイゾッド衝撃値 100~430J/m(→衝撃試験).電気部品,自動車部品,機械類などに用いる.すぐれた耐衝撃性樹脂である.

かなり違います。扱っている単位も異なるので、比較するのもあまり意味をなさない。
最新版(第5版)を取得して、調べたほうが良さそうだ。

岩波理化学辞典 (第5版) 岩波理化学辞典―[電子資料] ((Win版)) 単行本

下表は岩波理化学辞典(第5版)から抜粋
【アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合樹脂(ABS樹脂)】
ABSと略称、ポリブタジエンの幹に乳化重合法によりアクリロニトリルースチレンをグラフと重合させて得られる.引張り強さ 3.0~5.2✕107Pa,アイゾッド衝撃値 100~430J/m(→衝撃試験).電気部品,自動車部品,機械類などに用いる.すぐれた耐衝撃性樹脂である.

【アクリロニトリル】
CH2=CHCN 特異臭をもつ無色の液体で猛毒.発がん性が指摘されている. 融点 -83.55℃,沸点77.6~77.7℃,比重 d4 20=0.8060 ,水に対する溶解度 7.4%(25℃),ふつうの有機溶媒と混ざる. 空気と混和すると爆発する(3~17%),工業的にアセチレンとシアン化水素酸から合成,またはブロピレンとアンモニアから合成(ソハイオ法)する.加水分解によりアクリルアミドを経てアクリル酸となる.ジエンとティールスーアルダー反応(ジエン合成)を行わない環式化合物を与え,活性水素をもつ化合物とシアノエチル化を行う.重合しやすいので合成繊維あるいは合成ゴム,合成樹脂として用いられるほか,グルタミン酸ナトリウムや還元2量化によるアジポニトリルなどの合成原料となる.重合防止剤にはアンモニア,ポリフェノール類が用いられる.

【スチレン】

スチロール(styrol)ともいい,ビニルベンゼン,フェニルエチレンにあたる. 融点 -30.69℃, 沸点 145.2℃. 比重 d4 20=0.9090. 屈折率nD20=1.54382. 無色透明の液体で芳香をもつ. 有機溶媒によく溶解する. 工業的にはエチルベンゼンを鉄などの酸化物を触媒として600~650℃で脱水素して合成する.
C6H5CH2CH3 → C6H5CH=CH2+H2
市販品にはカテコールなどの重合禁止剤が添付されている.遊離基生成触媒,イオン触媒に重合する.ポリエチレン樹脂,スチレン-ブタジエンゴム,ハイスチレンゴムなどの製造原料のほか,不飽和ポリエステル樹脂,塗料,イオン交換樹脂原料として用途が広い.

【ブタジエン】
ふつうは1,3-ブタジエン(ブター1,3-ジエンCH2-CHCH=CH2 をさす. ジオレフィン炭化水素(ジエン)の最も簡単なものであって,共役2重結合をもつ. 沸点 -4.413℃(760Torr),臨界温度 425K,臨界圧力 4.33MPa,比重d4 20=0.6211,屈折率nD-6 = 1.422, 無色無臭の可燃性気体,アルミナー酸化クロムなどの触媒でn-ブタン,ブテンを脱水素するか,または石油留分の熱分解ガス(主としてエチレン製造用)から分離して得られる. 無水マレイン酸とのディールスーアルダー反応で,テトラヒドロフタル酸無水物が得られる.またキノン類,チオフェン,ピリジン,ピロール,ピラゾロン,インドールの合成に用いられる.ブタジエンに塩素を付加すると 1,4-ジクロロブター2-ブテン(1,4ージクロロブター2-エン)をを生じ,これはアジボニトリルの原料となる. 酸化すれば無水マレイン酸を生ずる.またチーグラー触媒によりC8およびC12 環式炭化水素を生成する.ブタジエンはスチレンーブタジエンゴムなど種々の合成ゴムの原料として使う.

※岩波理化学辞典(第5版)

岩波理化学辞典(第5版)は、公立図書館の書庫に所蔵されており、図書館員に申し出れば、書庫から持ってきてもらえて、閲覧および借りることが可能です。

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